Martes, 23 de Octubre de 2012
栄口朝行さんの「85歳生年祝い」賑わう

琉球音楽の知識・指導、高く評価される. 芸能一家総出で、「かぎやで風節」、歌など披露

栄口朝行さんの「85歳生年祝い」が去る9月29日(土)、沖県連会館で催されたが、広いサロンいっぱいに詰めかける大きな祝宴となった。 
司会は与那嶺義勝さん。初めに屋宜宣順・沖県連会長より「矍鑠(かくしゃく)とした栄口先生。まずお喜び申し上げます。戦時中は捕虜になったりご苦労された。これまで沖縄音楽のために、その知識と経験を傾けて貢献され、今の心境に到達された」、と祝辞。

つづいて下条善徳さんから、「はるばる沖縄から従兄弟の栄口康昭君ご夫妻をはじめ、9名が慶祝団として駆けつけた。朝行さんの人生最高の喜びではないか。また余興には芸能一家でないと出来ない家族揃っての出演。うらやましい限り。朝行さんを最初に見たのは1950年の旧盆、生まれ島の平安座初等学校の校庭で、字比嘉青年男女によるエイサー踊りだった。地謡の中の20歳を過ぎた美青年が朝行さんだった。人生の縁とは不思議なもので、1952年2月、オランダ船チチャレンカ号の移住者85名が自己紹介のとき、朝行さん親子3人がいた。以後、同航海者、琉球音楽、沖連時代の理事として、つねに兄弟のようにお付き合いして頂いた。生まれつき沖縄音楽の天才で、野村流古典音楽工工四(楽譜)全巻、湛水流楽工工四全巻の暗記、両流の師範として正しい三線の弾奏、声楽音譜の正しい教え方、すばらしい教授法と暗記力は沖縄本土でも見当たらないのではないか。音楽だけではなく、全てに万能。
最後に、拙い琉歌ですが、2首を贈りたい。
七八十坂んひやみかち登て 何時も若々と百才までん
八十五ぬ坂や道途中でむぬ 米寿と風車に花ゆ咲かし」、と祝辞。
そのほか、新門定雄・野村流音楽協会支部長が「朝行先生は今日、次のように琉歌を読まれた。
八十五の御祝辰年に迎えて 御万人揃るて祝う嬉しゃ
人生の喜びの絶頂ではないかと察しております。山椒(さんしょう)は小粒でもぴりりと辛いといわれるように、沖縄の伝統芸能である歌・三線の文化では無二の功労者」、と称えた。
さらに、長女の久美子さん(サルバドール大学元医学部長・ブ市政府
健省教育技術総局長)は「皆様とともにお祝いすることは、すばらしい喜びで、たくさんの想い出が押し寄せてきます。手仕事、洋服の染色、プランチャ、大工仕事、配管技術、左官仕事、絵、書、音楽、指圧・マッサージ、鍼灸、謡い、語り、全て手がけることに万能でした。バランスの取れた心遣い、手助け、指導、経験と知識を植えつけたことなど、とくに音楽では足跡を刻み、文化の交流では何度も受賞しました。
父の生涯は、ここでは何人かそんな人が居られますが、第二次大戦では未成年の身で一兵士として戦闘に参加、死の間際まで追い込まれた。また、ハワイの強制捕虜収容所にも送られたことがあり、そこで音楽と唄、自作の唄を通して交友を培いました。こうした逆境が父を強くし連帯の気持ちを育てた。戦後は自分の村の協同組合で働き、手助けをし、自分が生れたときは村のお祭りで芝居に出演していたとか。
60年前に来亜、つねに前向きで、また、勉強して医者になる夢を持ち続けましたが、きびしい家業、大家族でもある責任から、その夢は私に託されました。それでも尚、定年退職後も勉強、研究を続け、現在の鍼灸治療を弟カルロスや孫アドリアンとともに多くの人の痛みを癒す技を続けています。
毎朝仕事の準備をしながら、マーテを飲みながらの話、教えを忘れることができません。私たちが達成したことへの誇り、家族が結束している喜び、私たちがぶつかる問題ごとに見せる心配。いつも絆のように母と一緒で、今頃その霊は父を、私たちを見守っていることでしょう。
今日は家族、親しい友人たちに囲まれてお祝いできたことに感謝します。お父さん全てを有難う。あなたにふさわしい誕生日です」、と挨拶。
古波蔵智・支部相談役の音頭で乾杯、和食、アサードの会食に移ったが、長男のカルロスさんは「父のこれまでの歩みについては、皆さんがお話になった。『いつか大きなお祝い、家族揃って歌い、踊るお祝いが実現したい』と、今は亡き母の願いがあったが、今日その願いが実現されました。母は父の非常によき伴侶であり、協力し、準備にたくさんの時間を費やし、多くのお祝いで琴を弾き、踊った」と振り返り、この日の多くの協力した人達へ感謝の言葉があった。
余興では、野村流、筝曲興陽会両支部員の合奏「嘉例の演奏」、栄口一家による踊り「かぎやで風節」を皮切りに、栄口一家の踊り「松竹梅」、「いちゅび小」、亜国民謡合奏・合唱「Zamba de mi Esperanza」、栄口カルロスさん親子の合奏・合唱「安里屋ゆんたー」、山城志保子さんによる栄口朝行さん作詞・作曲の民謡独唱、沖縄から来た琉舞教師の玉那覇ロミーナさんによる「むんじゅる」、空手の型を取り入れた創作舞踊「鷲の鳥節」があった。
さらに、玉城流仲宗根フジ子琉舞研究所、円の会山本美佐子琉舞研究所、宮城流和美の会内間キヨ子琉舞研究所、玉城流大庭キク琉舞道場による、「上い口説」「四季口説」「前ぬ浜」「鳩間節」「仲村渠節」(大庭キクさん)「湊くり節」「下い口説」「早口説」「踊い桑で差」(沖県連婦人部)「収納奉行」「獅子舞」(比嘉フェルナンドさん)団体舞踊「花」「花笠踊り」、サプカイ三線グループの合奏・合唱、ブエノスアイレス・グループの「太鼓演奏」、踊りしんかによる「あしびな」「河内音頭」「唐船どーい」など、演芸会並みにびっしり披露された。
最後に、野村流協会支部から署名ペルガミーの額縁入りの贈呈、ケーキカットで締めくくられた。
写真は栄口朝行さん(右から5人目)、子、孫、曾孫、親戚、親友に囲まれて