Jueves, 28 de Mayo de 2015
書家 浜野龍峰さんのワークショップに大勢の参加者集まる

国際ブックフェアー、エスクエラ・ダビンチと、ブエノスアイレスでパフォーマンスを行い多くの観客を圧倒させた書家の浜野龍峰さんによるワークショップが、日本大使館広報文化センターにて5月11日水曜日の午前と午後の二回に分けて開催された。午前の部は、参加希望者があまりに多かったことから急遽追加したクラスとなった。午前中は約40名、午後は24名が参加した。日系に限らず多くの非日系の顔も見られた。参加者の多くは初心者だった。

浜野さんはまず最初に参加者の一人に「何を書いてほしい」と聞いた。「ベジェッサ」と答えた女性の参加者の希望に答えて浜野さんがまず書いたのは奇妙な象形文字のようなもの。次に「羊」その下に「大」と書いて見せた。「美」という字は「大きい羊」という二つの字が合わさってできたものだと字の由来を紹介した。古来大きい羊を神に捧げていた習慣から来たという。また、「美しい」とはなんだろうか、「綺麗」と「美しい」はどう違うのかを、スペイン語の“Bello”と“Lindo”と比べながら語り、参加者と意見を交換する場面もあった。美人モデルをみて美しいと思うのも勿論だが、自分にはおばあさんが食べる姿を見て美しいと思うことがあると言う。そのときの美しさは表面の美しさではなくて、内からにじみでてくる美しさではないかと、会場の参加者の共感を誘った。その後、ひらがなは漢字が崩れて成立したものだと、実際にひらがなの「た」や「つ」などが、どう漢字の「太」や「川」から出来たのかを書いて見せた。
さて、当日の参加者には一人一本筆が渡され、会場内に数ヶ所墨が置かれた。参加者も実際に書に親しんでみようというわけである。この日の課題は「月」という字。日本では小学校の6歳、7歳が学ぶ漢字であり、浜野さんがはじめて覚えたスペイン語の言葉がルナ(Luna)であったことからこの字を選んだ。書の基本の最初のポイントとして、書き始める筆の方向を教授した。まず線を書く前に筆を置く練習。これで点が書ける。「苺の種の様な形になるでしょう」と笑いを誘う。次に横線は左から右へと書き最後はゆっくりと止めてから筆を紙から離す。縦線も同様。「月」という字にある、払いの部分は、犬か赤ちゃんをなでるようにそうっと優しく筆を書くことを教えた。言葉で聞いて理解してもそれを実際にやってみるのは困難なようで、「難しい」と言いながら苦戦している参加者もいた。また、やってはいけないこととして書き足し、後塗りなどを例に出した。参加者にはその線が力強い、繊細な線、魅力的な線、上手に書いていると先生からお褒めの言葉をもらった生徒もいた。
最後に浜野さんが持参した中国福建省の約30年前の古い紙を参加者に二枚ずつプレゼントし、「月」を清書させた。貴重な紙だということもあり、集中して書いていた参加者たちはそれまで以上の真剣さを見せて書いていた。会場はしーんとした静けさに包まれていた。
今回の来アで実は二回目のワークショップの開催。4歳で書をはじめ約50年間書き続けている。でもやっと最近字が書けるようになったと感じると語った浜野龍峰さん。ぜひ来年もアルゼンチンに来たい、と希望を語った。浜野さんはブエノスアイレスの後、ブラジルのクリチバ、マリンガ、サンパウロを訪れたあと、再びペルーのリマに寄って日本へ帰国する。
浜野龍峰    1960年福井県出身。書家、篆刻家。1978年から福瀬餓鬼に書道を学び、1994年に杭州、中国で篆刻を学ぶ。アメリカ(ニューヨーク)、スペイン(サラマンカ、マドリッド)、イタリア(ミラノ)など世界各国で個展やパフォーマンスを行う。ハワイで日系社会と触れ合ったことから日系移民を題材にした作品を創作、発表している。ハワイ、スペイン、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、ペルーでパフォーマンスとワークショップ、展覧会を展開。書を紹介して世界を歩くアーティストである。